chapter2671:吉原炎上

画像ジョン・ディクスン・カーの「火刑法廷」を読了。
2011年に出た新訳版です。

久しぶりの再読なので旧訳版との違いは分かりません。
魔女と呼ばれた毒殺魔、壁をすり抜ける幽霊、消失する死体…と、まさにカーらしいオカルト要素満載の作品。
エピローグの内容に賛否両論あるようですが、個人的にはこういうのもあって良いと思っています。
まあ、カーがクリスティやクイーンほど日本で人気がでないのは、こういう“アクの強さ”が原因なんでしょうけどね (^^;;

カーの全盛期だった1930年代に書かれた名作の1つ。
ホラー小説や怪奇小説のファンにもお薦めです。
評価:★★★★★


画像吉原炎上(1987)
監督:五社英雄
出演:名取裕子、二宮さよ子、藤真利子


画家、斎藤真一の画文集を原作とした東映映画。
「鬼龍院花子の生涯」など宮尾登美子作品の映画化で知られる五社英雄がメガホンを取っています。

かつての吉原遊郭へ売られてきた19歳の娘、久乃(名取)が主人公。
明治40年から数年間の吉原とそこに関わる人々が描かれます。

映画は春夏秋冬の4章からなる構成。
春の章は二宮さよ子、夏の章は藤真利子、秋の章は西川峰子、冬の章はかたせ梨乃がそれぞれ主人公と見ることも出来るので、名取裕子は全編を通しての狂言回し役とも言えます。
この5人の女優が揃って出し惜しみすることなくヌードを披露しているのも嬉しいですね (^^;;

もっとも単にエロだけを売り物にした作品ではありません。
まず目を引くのが当時の吉原を再現した壮大なセットです。
女優たちが着る豪華な衣装や遊郭内の調度品などにも注目。
すんなりと舞台となる明治後期という時代へ入っていけるのも、美術や衣装の頑張りがあるからでしょう。

主役級の5人以外の女優も印象に残ります。
園佳也子、佐々木すみ江、絵沢萌子、野村真美らが揃って好演。
逆に根津甚八、小林稔侍、井上純一、益岡徹、河原崎長一郎ら遊郭の客となる男優陣が無様で不甲斐ないのと好対照になっています。

自分の評価は★★★★★。
神棚にお灯明を上げて、『大マラ、小マラ、冷やかしマラの来ませぬように』と従業員全員で唱えて1日が始まったり、呼び込みや幇間が登場したりで、吉原という世界を垣間見られるのも興味深い点です。
今はもうない徒花文化を華麗に大胆にえげつなくドロドロと描いた傑作。
クライマックスの吉原炎上シーンも見応えがあり、個人的に五社監督のベスト作だと思います。

この記事へのコメント

しゅー
2015年10月12日 06:15
上映当時,観たいような観たくないような,と感じた作品です.
今見ても,華麗に大胆にえげつなくドロドロと感じられるということは,当時ならもっと強烈だったでしょうね.
時代は明治でしたか・・・江戸時代かと思ってました.
タラララ
2015年10月12日 11:15
自分も江戸時代だと思ってました (^^;;
最近の邦画はちょっとアッサリしすぎなような…。
ドロドロ、ネチネチした映画って今より昔の方が多かった気がします。
HOSHIO
2015年10月16日 23:22
カーってマニアがいますよね。「火刑法廷」は読んだはずですが覚えていません。同じ頃に読んだエラリー・クイーンも全く覚えていません。人生を二度楽しめるってことでしょうか!
HOSHIO
2015年10月17日 03:16
ああ、遂に熊倉さんが・・・
タラララ
2015年10月17日 11:58
個人的に好きなミステリー作家は日本だと横溝、海外だとカーです。
クリスティやクイーンなど昔に読んだのは犯人やトリックを覚えているのが多いです。
でも最近に読んだものは…。

>ああ、遂に熊倉さんが・・・
朝刊で知りました。
ご冥福をお祈りします。