chapter2660:不意打ち

画像不意打ち(1964)
LADY IN A CAGE
監督:ウォルター・E・グローマン
出演:オリヴィア・デ・ハヴィランド、ジェームズ・カーン、ジェニファー・ビリングスリー


ヒルヤード夫人(デ・ハヴィランド)は30歳になる1人息子マルコム(ウィリアム・スワン)と都会の邸宅で優雅な暮らしをしていました。
株などの不労所得がある彼女は数ヶ月前に腰を骨折して階段の上り下りが辛くなると、迷わずホーム・エレベーターを設置したほど。
しかしマルコムは母親の溺愛にウンザリしており、彼女と距離を置くことをしたためた置き手紙をして独立記念日の休暇旅行へ出掛けてしまいます。
その直後、隣家で作業していたペンキ屋がハシゴを引っかけてしまい電線がショート。
ヒルヤード家だけが停電になってしまいます。
ちょうどエレベーターに乗っていた夫人は1階と2階の間で宙ぶらりの状態に。
邸の外壁に取りつけてある非常ベルを鳴らしますが、それに気づいてやって来たのはアル中の浮浪者(ジェフ・コーリイ)でした…。

まだ若かったジェームズ・カーンの実質的な映画デビュー作となったスリラー映画。
監督は「633爆撃隊」のウォルター・E・グローマンで、主演は名女優オリヴィア・デ・ハヴィランドです。
他にはアン・サザーン、ジェフ・コーリイ、スキャットマン・クローザースらが出ていました。

原題の「LADY IN A CAGE」が示すとおり、エレベーターの中に閉じ込められた中年女性の半日を描いています。
生死を確かめるように寝ている浮浪者の足をつつく黒人少女、渋滞に苛ついたドライバーたちが鳴らすクラクション、路肩に放置されたままの車に跳ねられた犬の死骸…などを捉えたオープニング・クレジットから不穏な空気が流れます。
「モロッコ」「上海特急」「暗黒街の顔役」など多くの名作を撮っているベテラン、リー・ガームスのカメラもモノクロながら素晴らしく、ポール・グラスの不協和音を使った不安を煽る音楽も秀逸です。

1人として善人は出てこず、見ている者の神経を逆なでするザラついた作品。
公開当時は酷評されたそうですが、製作年を考えればこれは無理もありません。
隣人との関係が希薄な“都会の無関心”をテーマにして都会に潜む恐怖を浮かび上がらせた、まさに“早すぎた名作”と言えるでしょう。
後味の悪さもバッチリで、自分の評価も★★★★のお薦めです。

この記事へのコメント

HOSHIO
2015年06月12日 01:27
クリストファー・リーが亡くなりましたね。196センチ、93歳とは、ずいぶんとスケールの大きなアクターだったんですね。棺桶から出てきたらさぞかし迫力があることでしょう。にんにくは効きそうもありません。
タラララ
2015年06月12日 13:28
あの長身だから彼のドラキュラは迫力ありましたね。
高齢なのは知っていましたが、近年もSWやROTRで活躍していて「まじでこの人、不死じゃないの」と思ってました。
数年前にソロ・アルバムを出したので、聞いてみたらバリバリのシンフォニック・メタルだったのでビックリした記憶があります。
まさにラスボスに相応しい人でした。

さっきヤフーニュースを見ていたらオーネット・コールマンも…。
好きだった役者やミュージシャンの訃報が続くと「自分も歳をとったなぁ」と。
お2人ともご冥福をお祈りします。