chapter2640:ミスター・ノーボディ

画像リチャード・アッテンボローが8月24日に90歳で亡くなりました。

俳優としてだけでなく、監督やプロデューサーとしても活躍した才人。
役者としては「大脱走」と「ジュラシック・パーク」、監督作では「素晴らしき戦争」と「ガンジー」が印象に残っています。
ご冥福をお祈りします。


ミスター・ノーボディ(1973)
IL MIO NOME E NESSUNO
監督:トニーノ・ヴァレリ
出演:テレンス・ヒル、ヘンリー・フォンダ、ジャン・マルタン


西部開拓時代も終わろうかという1899年。
早撃ちで知られたガンマン、ジャック・ボーレガード(フォンダ)はヨーロッパ行きを考えていました。
彼を倒して名を上げようとする腕自慢は後を絶たず。
老境に差しかかったボーレガードはこんな生活に嫌気がさしていたのです。
そんなある日、ボーレガードは“名無し”と名乗る若者(ヒル)と出会います。
彼もかなりの早撃ちでしたが、狙いはボーレガードの命ではありませんでした。
どうやら彼はボーレガードが作る新たな“伝説”を目撃したい様子。
そのため、ボーレガード1人でワイルドバンチの一味、150人を相手に対決して欲しいと言い出すのですが…。

セルジオ・レオーネの原案をトニーノ・ヴァレリが監督したマカロニ・ウエスタン。
「ウエスタン」に続いてヘンリー・フォンダがマカロニ・ウエスタンに出演した作品ですが、ブームの終焉期ということもあり、テレンス・ヒルの持ち味を活かしたコミカルな作りになっています。

先日リリースされたブルーレイには2種類の日本語吹替が収録されています。
ヘンリー・フォンダとテレンス・ヒルの吹替が“柳生博+広川太一郎”と“瑳川哲朗+津嘉山正種”の2バージョン。
何度か見ている作品ですが、今回は柳生+広川バージョンで鑑賞してみました。

本作は監督したトニーノ・ヴァレリではなく、セルジオ・レオーネの作品として一般的に認知されています。
ヴァレリによると『レオーネに撮ってもらったのは数シーンだけ』なのだそうですが、「怒りの荒野」などヴァレリの諸作とは明らかに雰囲気が違っています。
出来上がった映画を見れば、これはレオーネ作品と言いたくなりますね (^^;;

例えば、クライマックスの1対150のシーン。
砂塵を上げながらワイド画面の横いっぱいに広がり、150人のワイルドバンチがこちらへ向かってきます。
それをたった1人で迎え撃つフォンダ。
フォンダを背後から捉えたカメラが少しずつクレーンでティルトアップして1対150を俯瞰で押さえる…という一連のシーンは誰が撮ったにせよ完全な“レオーネ節”と言えるでしょう。

自分の評価は★★★★のお薦め。
老練な凄腕ガンマンを演じたフォンダと掴みどころのないヒルという両者のキャラクターが抜群です。
サム・ペキンパーの名前が墓石に刻まれていたりする、バカバカしいギャグもなかなか楽しめます。
ユーモラスだったり、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」を流用したり、いかにもマカロニ・ウエスタンらしかったりと、場面にピッタリの曲をつけたエンニオ・モリコーネの音楽も大いに映画を盛り上げます。
滅び行くものへの挽歌でレオーネ版「ワイルドバンチ」と形容したくなる秀作。
ちなみに同じテレンス・ヒル主演で「ミスター・ノーボディ2」が作られていますが、こちらはイマイチだったと記憶してます。

○本日のオマケ
エンニオ・モリコーネによるメインテーマです。

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