chapter2607:カトマンズの男

画像カトマンズの男(1965)
LES TRIBULATIONS D'UN CHINOIS EN CHINE
監督:フィリップ・ド・ブロカ
出演:ジャン・ポール・ベルモンド、ウルスラ・アンドレス、ジャン・ロシュフォール


父親の莫大な遺産を引き継いだアルチュール(ベルモンド)は退屈しきった毎日を過ごしていました。
生きている意味を見いだせずに自殺を試みますがことごとく失敗し、『ああ死にたい』が口癖になります。
フィアンセのアリス(ヴァレリー・ラグランジェ)一家と香港旅行に来ていた彼は会計士(ダリー・コール)から株の暴落で破産したことを知らされます。
これで晴れて自殺できると考えたアルチュールに父親の親友で元・後見人の中国人ゴー老師(ヴァレリー・インキジノフ)が1つの提案をします。
それはアリスとゴー老師を受取人に指定した200万ドルの生命保険に入るというもの。
自殺では保険金が下りないので、老師が殺し屋を雇うという段取りでした。
喜んで有効期限1ヶ月の生命保険を掛けたアルチュールですが、保険会社を出た直後から不審な2人組に尾行されていることに気づきます。
いざ殺し屋に狙われてみると命が惜しくなったアルチュールは取引を中止しようと老師を探しますが、彼はチベットへ旅立っていました。
そこで召使いのレオン(ロシュフォール)を連れて老師の後を追うことにするのですが…。

世界中でヒットした「リオの男」のスタッフが再結集してベルモンド主演で撮ったアクション・コメディ。
ジュール・ヴェルヌが書いた「必死の逃亡者」が原作ですが、ストーリーは映画用に大きく脚色してあるそうです。
ちなみに原題は「ある中国人の中国における受難」という意味だそうで、原作の主人公も中国人のようです。

本作も「リオの男」と同様にテレビで見て以来なので、30数年ぶりの再見になります。
こちらもDVDに収録されていた日本語吹替版で鑑賞してみました。
ジャン・ポール・ベルモンド=青野武、ウルスラ・アンドレス=平井道子、ジャン・ロシュフォール=北村弘一というキャストです。

邦題こそ「カトマンズの男」ですが、主人公がネパールに行っているのは中盤の短い間だけ。
ほとんど香港が舞台になるので実質的には「香港の男」ですね (^^;;
日本人からすると香港よりもカトマンズの方により異国情緒を感じるので、こういう邦題にしたのでしょうか。

この映画も「リオの男」の路線を狙った内容ですが、もっとスラップスティックでバカバカしいギャグばかり。
まだ「リオの男」には財宝探しというストーリーがありましたが、こちらは主人公が殺し屋から逃げる話に終始しているのがミソでしょう。
ストーリーの面白さをバッサリと切ったことが結果として成功した作品と言えます。

坂道を転がるベッドや気球にセスナと、ベルモンドの体を張ったドタバタ・アクションも絶好調です。
中でも吊り橋からロープ代わりにシャツを繋げて一気に落下するシーンは呆気にとられたほど。
ベルモンドが前作の主人公の名前アドリアンと呼ばれる楽屋落ちネタもありますし、ウルスラ・アンドレスが「007/ドクター・ノオ」のハニー・ライダーそっくりの白ビキニで登場するパロディ・シーンまで出てきます。
ストリップなのにまずヌードで登場したアンドレスが少しずつ服を着ていくというナンセンスなネタなど、ギャグの種類もバラエティに富んでいました。

まさしくマンガを実写化したような下らないギャグのオンパレード。
飄々としたベルモンドのキャラクターが見事に嵌まったアクション・コメディの秀作です。
こういうドタバタを受け付けない向きもあるでしょうが、自分の評価は★★★★のお薦めです。

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