chapter2554:さよならジュピター

画像さよならジュピター(1984)
監督:橋本幸治
出演:三浦友和、ディアンヌ・ダンジェリー、小野みゆき


2125年、地球の人口は180億人となり、宇宙空間にも5億人が進出していました。
火星では極地の氷を溶かして水を確保する計画が実行され見事に成功。
ところが、溶けた氷の下の地面に描かれている幾何学模様が発見されます。
分析したところ地球の“ナスカの地上絵”に類似していることが判明し、宇宙言語学者のミリセント・ウィレム博士(レイチェル・ヒューゲット)は木星にあるミネルヴァ基地へ飛びます。
木星を第2の太陽にする“JS計画”の主任・本田英二(三浦)と会って協力を求めるためでした。
同じ頃、ミネルヴァ基地では施設の一部が壊される事件が発生。
見学客に紛れて侵入したJS計画に反対する環境保護団体“ジュピター教団”のメンバーによる犯行です。
逮捕された教団メンバーの中にマリア(ダンジェリー)を見つけて本田は驚きます。
彼女は火星で育った幼馴染みで、かつての恋人だったのですが…。

小松左京が脚本を書き、プロデュースと総監督を務めたSF映画。
ウィキペディアによると本格的なSF映画を目指して小松が立ち上げたプロジェクトなので、企画段階では豊田有恒、田中光二、山田正紀、野田昌宏、鏡明、伊藤典夫、井口健二、横田順彌、高千穂遙、石原藤夫という錚々たるメンバーが関わっているようです。
小松には同名の小説がありますが、映画とは原作というよりもノベライズに近い関係だそうです。

当初はアメリカとの合作も視野に入れていたというだけあって、劇中では日本語、英語、フランス語、ドイツ語が飛び交います。
日本から三浦友和、小野みゆき、森繁久彌、岡田真澄、平田昭彦らが出演している他、主要キャストには無名ながらも多くの外人俳優が起用されています。
マーク・パンソナという子役は後にglobeに参加するマーク・パンサーだそうですが、自分はglobeというバンドを知らないので気づきませんでした。
ちなみに東宝の特撮ものには欠かせない役者だった平田昭彦の遺作です。

さて、本作は小松左京の意気込みに反して、あちこちで散々な評価をされている映画として有名です (^^;;
自分も噂は聞いていたので、全く期待せずに見始めたのですが…。

いや~、これは確かに酷い (+_+)
有史以前に宇宙人が地球を訪問していた証拠が判明するという、ホーガンの「星を継ぐもの」を思わせる壮大なスケールで始まるのに最後は“愛は人類を救う”で終わるというカオスぶり。
クライマックスのレーザー銃の撃ち合いは完全に「スター・ウォーズ」の模倣ですし、なぜか「ジョーズ」の丸パクリ・シーンまで登場したのにはビックリです。
人類誕生以前に地球へ来ていた宇宙人というメインテーマが途中でどっかへ行ってしまうため、これがカオスさに拍車を掛けていますね。

宇宙基地などミニチュアのデザインはかなり頑張っていますが、合成中心の特撮部分はかなりショボいのが残念。
同じ年にハリウッドが作った、これも木星を舞台にした「2010年」とは比べるべくもありません。
“ハネケン”こと故・羽田健太郎の音楽はまだしも、ユーミンの曲も映画の雰囲気からは浮いているような…。
あ、でもテーマは“愛は勝つ”だから合ってるのかな (´・ω・`)

今や伝説となっている“無重力セックス”のシーンは確かに強烈なインパクトを残します。
しかし、そこも含めて突っ込みどころは数知れず。
何より名作「2001年宇宙の旅」を目指した心意気が端々から伝わって来るので、逆にトホホ感が半端ないのです。
実質的には★★ぐらいの評価ですが、中途半端な評価だと小松先生に申し訳ない気がするので★1つの最低評価にしておきましょう (^^;;

パクリ、模倣、オマージュが多い映画ですが小松先生の名誉のために一言。
本作のクジラのアイデアは劇場版「スター・トレック」の4作目「故郷への長い道」にも出てきますが、これはハリウッドがパクったことは間違いないでしょう。

○本日のオマケ
松任谷由実による主題歌「VOYAGER~日付のない墓標」です。

この記事へのコメント

HOSHIO
2014年02月21日 00:31
何度かブログに書いたと思いますが、小説は大好きで、特にラストシーンは小松先生らしい壮大なシーンに、小松先生らしからぬ詩的な描写。何度も読み返しました(受験を控えていたと思いますが)

で、映画は東京出てきてからかなぁ。最初の火星?のシーンだっけ、どわーっといろんなものが押し流されていくシーンが延々無音で「おお、これは小松先生のリアリズムか!」と思っていたら途中からいきなりの大音響で、単にスピーカーから音が出てなかっただけだったという・・・。

映画の中身は例によってまったく覚えていません。ただ、三浦友和も小野みゆきも好みじゃなかったです。松任谷由実の主題歌は小説の世界観そのままだったように思いますが。

全体のプロットはこれ以上はないハードSFなんですけどね。映画見終わったらすごい虚脱感に襲われたのは覚えています。

さてこのエントリーをきっかけにこれを読んだものかどうか迷っています。
www.youtube.com/watch?v=jEznIDYFtd4
タラララ
2014年02月23日 20:10
小説の評判は良いようですね。
個人的にKindle化されるのを待っている1冊です。

>単にスピーカーから音が出てなかっただけ
それは凄いオチですね。
しっかり宇宙空間での爆発に効果音もついていましたし、破片とかが下に落ちるシーンもあったりで、リアリティからは程遠い特撮シーンでした (^^;;

>全体のプロットはこれ以上はないハードSF
そうなんですよね。
それだけに見終えた時の脱力感は…。

>これを読んだものかどうか迷っています
これって全14巻ってことですよね。
読んでみたい気はしますが、映画と同様にあれこれと詰め込みすぎているような気もします。
人柱になってみようと探してみたのですがKindleではでていない様子。
ちょっとホッとしました (^^;;
HOSHIO
2014年02月23日 23:32
一話200円ですね。PCなら読めるようなので近々チャレンジしてみます。
タラララ
2014年02月24日 13:21
200×13の全部で2600円ですか。
ボリュームによりますがハードカバー並みの値段ですね。
ここは人柱になって頂ければ助かります。
面白いようなら自分も購入しますので (^^;;