chapter2523:ボブ★ロバーツ

画像R・D・ウィングフィールドの「クリスマスのフロスト」を読了。
週刊文春が選出した“東西ミステリーベスト100”で海外編の43位になっていた作品です。

既に作者のウィングフィールドは2007年に亡くなっているそうです。
ユーモア・ミステリーということでジョイス・ポーターの「ドーヴァー警部」シリーズに似た雰囲気を想像していました。
しかし、ドーヴァーはマヌケでぐうたらのどうしようもない警部でしたが、彼に比べるとこちらのフロスト警部はかなりまとも。
うっかりミスあっても、猛烈な仕事人間という点がドーヴァー警部との決定的な違いでしょう。

僅か5日間で複数の事件が次々と発生するという警察ものとしては定番の設定。
関係があると思っていた事件が無関係だったり、関係ないと思われていた事件が関係していたりします。
作者がラジオ・ドラマの脚本家だったからか、各章にオチがつけられていたりで、ストーリーテリングの上手さで一気に読ませます。
逆に謎解きの要素は少なく、いわゆる“本格もの”が好きな方には物足りないかも知れません。
個人的には面白かったので、セール中のシリーズ第2作「フロスト日和」もポチりました (^^;;
評価:★★★★


ボブ★ロバーツ(1992)
BOB ROBERTS
監督:ティム・ロビンス
出演:ティム・ロビンス、ジャンカルロ・エスポジート、アラン・リックマン


ペンシルバニア州の上院議員選挙の行方は混沌としていました。
現職ペイスト議員(ゴア・ヴィダル)の優勢が伝えられていましたが、孫ほど年が違う女性とのスキャンダルが発覚。
新人のボブ・ロバーツ(ロビンス)が一気に差を詰めたのです。
彼はフォーク・シンガーでありながら、株で財を成したビジネスマンで若くして巨万の富を手に入れた男。
保守系の裕福層を中心に票を伸ばしています。
ところが、中間調査でペイストを逆転したロバーツ陣営に思わぬ横槍が入ります。
片腕ともいえる選挙参謀ハート(リックマン)が元CIAの幹部で違法な武器取引に関わっていたとアラブ系ジャーナリストのラプリン(エスポジート)が報道したのです。
ロバーツ陣営は疑惑を否定するものの、再びペイストに逆転されてしまうのですが…。

俳優のティム・ロビンスが初めて脚本を書き、監督した政治風刺ドラマ。
劇場公開時は「陰謀が生んだ英雄」というサブタイトルがついていましたが、現在発売されているDVDでは削られています。

本作は“モキュメンタリー”と呼ばれるフェイク・ドキュメンタリー形式。
新人候補ボブ・ロバーツのドキュメンタリー映画を撮影しているという設定でストーリーが進行します。

さらにボブ・ロバーツはフォーク・シンガーという設定なので、ティム・ロビンスは歌も歌っています。
それらの劇中歌を作ったのはティムの実弟デヴィッド・ロビンス。
彼はフォーク・グループ“ハイウェイメン”の元メンバーだったそうで、曲のクオリティもなかなかのものでした。

面白かったのはボブ・ロバーツの曲がボブ・ディランのパロディになっていること。
アルバムのタイトルが「時代は戻る」とか「ボブ・オン・ボブ」だったりで、ディラン好きならニヤニヤできるでしょう。
有名な「Subterranean Homesick Blues」をパロっている、「Wall Street Rap」という曲のPVには思わず吹き出しました (^^;;

カメオ出演している俳優陣が豪華なのも本作の見どころの1つです。
スーザン・サランドン、フレッド・ウォード、ジョン・キューザック、ジャック・ブラック、ボブ・バラバン、ヘレン・ハント、ピーター・ギャラガー、ジェームズ・スペイダー、デヴィッド・ストラザーン…と、ギャラだけでも大変ですね。
ちなみにジャック・ブラックはこれが映画デビュー作になるようです。

自分の評価は★★★。
ちょうどアメリカの大統領がレーガンからパパ・ブッシュの共和党だった時期に作られた作品なので、極端な右傾化を皮肉った内容になっています。
ボブ・ロバーツがどの党に所属しているのかは劇中で明確にされてなかったと思いますが、これはどう見ても共和党でしょう (^^;;
アメリカ人でないとピンとこないネタも多くあるはずですが、日本人が見てもそれなりに楽しめます。
モキュメンタリー形式も成功していると思いますし、役者だけでなく監督としてのティム・ロビンスの才能も垣間見える1本。
ポリティカル・コメディの佳作だと思います。

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