chapter2475:椿山課長の七日間

画像椿山課長の七日間(2006)
監督:河野圭太
出演:西田敏行、伊東美咲、成宮寛貴


中年の椿山和昭(西田)は大手百貨店の婦人服売場の課長。
バーゲンセールが始まった日、部下の嶋田(沢村一樹)に仕入れの指示をしていた彼は過労死で突然に亡くなります。
次に目覚めたのは現世と天国の間にある“中陰役所”という場所。
係員のマヤ(和久井映見)から天国へ行く説明を聞かされますが、急死した椿山は残してきた妻・由紀(渡辺典子)と息子・陽介(須賀健太)、ボケて入院している父親・昭三(桂小金治)のことが気がかりでなりません。
マヤから現世へ一時的に戻れる“逆行”と呼ばれる制度があると聞かされた椿山はそれを利用することに。
審査の結果、多くの希望者の中から逆行を認められたのは椿山、ヤクザの親分・武田(綿引勝彦)、小学生の雄一(伊藤大翔)の3人だけでした。
子供の雄一が逆行する条件として大人の付き添いが必要だと知った椿山は名乗りを上げ、彼と行動を共にすることにします。
3日間の期限で雄一と一緒に現世へ戻った椿山が目覚めたのはホテルの一室でした。
ところが、鏡を見た椿山はビックリ。
彼は若い美女の和山椿(伊東)として現世に戻らされていたのです…。

原作は「鉄道員(ぽっぽや)」を始め多くが映画化されている浅田次郎の同名小説。
生前にやり残したことのある3人が許可されて地上へ戻るというファンタジーです。
この原作は先日読んだばかり。
かなり面白かったので、映画をレンタルしてみたのですが…。

見始めて5分で原作とは別物だと気づきました。
小説と映画は長さも表現方法も異なるのでそれはそれで良いのですが、あまりにも原作の良い箇所を削りすぎ。
しかも小説にはない、映画独自の設定が詰まらないのです。

例えば、中年のオッサンだった主人公が若い美女になって現世へ戻るという設定の解釈です。
このギャップの面白さを出そうとして、西田敏行と伊東美咲をキャスティングしたのは悪くありません。
しかし、美女が男性言葉を使うという点だけで笑いを取ろうとしているのはセンスがなさすぎます。
「転校生」を見れば分かりますが、この手の“性転換もの”は慣れない女性の習慣や立ち振る舞いに合わせようと男性が四苦八苦するから面白いのです。
だいたい見た目の面白さなんて最初だけで長続きしませんから。
伊東美咲は股を開いて座ったりで頑張っていますが、こういう役を演じるには明らかに力量不足でしょう。

万事がこんな感じで、映画がオリジナルに付け加えた要素がことごとく面白くありません。
会話中心の作品にしたことだけは評価したいのですが、セリフが酷すぎるので帳消し。
よくまあ、あの面白い原作からこんな脚本が書けたものだと感心するほど詰まらない映画です。

自分の評価は★1つの最低評価。
最近の邦画に多い、奥行きのない薄っぺらい画面と意図不明の逆光シーンの多用で演出も見るべきところはなし。
見るだけ時間の無駄でした。
原作の良さを全て削り、上辺だけを捉えて単なる“お涙頂戴”映画にしたことで、小説の映画化としては評価ゼロです。

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