chapter132:ロング・エンゲージメント

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ようやく見てきました「ロング・エンゲージメント」。
もっと早くに行く予定だったのですが、花粉症のお陰で延び延びになっていました。

今週で上映が終了することを知り、なんとか時間をやり繰りしたのですがギリギリで間に合いました。
花粉症でたまに咳き込んだりするので、他の観客に迷惑を掛けないように…と思っていたら、平日の昼間ということもあり観客は10人もおらず、ちょっとホッとしました。
例によって前の方の席に座ったので視界にはスクリーンしか見えず、気分は貸切状態でした (^^)


ロング・エンゲージメント(2004)
UN LONG DIMANCHE DE FIANCAILLES
監督:ジャン・ピエール・ジュネ
出演:オドレイ・トトゥ、ギャスパー・ウリエル、ジャン・ピエール・ベッケル


第一次大戦下のフランスが舞台です。
幼い頃に小児麻痺を患い片足が不自由なマチルド(トトゥ)の元に幼なじみの恋人マネク(ウリエル)が戦死したという知らせが届きます。
当時、自ら負傷して傷病兵として退役する兵士が増えたため、軍はそんな兵士に軍法会議で厳罰を与えていました。
マネクも恐怖から自分の手をわざと敵に撃たせて負傷したのですが、他の4人の兵士と共に死刑を宣告されます。
マネクら5人の兵士は、武器を持たされずに前線のドイツ軍との中間地帯に放り出されます。
その後、激しい戦闘が起こり5人は戦死したことになったのですが、マネクの死体を確認した者はいません。
マネクの生存を信じて疑わないマチルドは、両親からの遺産を使い弁護士や私立探偵を雇って調査を始めますが…。

ミステリー・タッチの映画で、ジュネ監督にしては珍しい…と思っていたら、原作はあの「シンデレラの罠」のセバスチャン・ジャプリゾということで納得です。
「デリカテッセン」以降、日本で公開された作品は全て見ている贔屓のジュネ監督ですが、この映画の前半は非常に解りにくい。
マネク以外の前線の兵士が、ほとんど同じような髭面で誰が誰なのか見分けがつかないのです。
まだ英語の映画ならば字幕をある程度は無視できるのですが、フランス語なのでそういう訳にもいかず字幕に注目していると一層、違いが解らなくなり困りました (^^;;
まあ、ジュネ監督が字幕を前提に映画を撮るはずもないので、これは彼の責任ではないのですが…。

思わずハッとさせられるようなカメラワークや、場違いな効果音や小道具を使うことで醸し出されるユーモアなど、今までのジュネ作品に共通する点は多く見られます。
効果音に合わせて腰を動かすベッドシーンが出てくるのも相変わらずです (^^)
しかし、全体を通してセピア・カラーで統一されている画面や、CGをふんだんに使った戦争シーンなどは、今までのジュネ作品にはなかったもの。
迫力ある戦争シーンは、壮絶さ、悲惨さがよく出ていますし、マチルドの心情を表現したかのようなセピア・カラーの画面も個人的には成功しているように思います。
エンディングに繋がるであろうと誰しもが思う伏線らしきものを、あえて使わなかったラストシーンもジュネらしく印象に残ります。

主人公を演じたオドレイ・トトゥ以外は、「TAXi」シリーズのマリオン・コティヤールぐらいしか主要キャストに馴染みの俳優はいません。
その代わりと言っては何ですが、脇役がジョディ・フォスターを始め、チェッキー・カリョにジュネ作品の常連ドミニク・ピノンと豪華です。

「アメリ」でしかジュネ監督を知らない人には、期待はずれに思える映画だと思いますが、「デリカテッセン」「ロスト・チルドレン」が好きな方は見て損はないと思います。
自分の評価も★★★★のお薦めです。
途中からは『ああ、あの人か』と解るのですが、それでも人物関係が消化不良のまま前半を見てしまったので、もう一度DVDで見直してみたい映画です。
それにしても、フランスの郵便屋さんは全員、ジャック・タチ風の面白い人ばかりなのでしょうか (^^)

この記事へのコメント

Jun
2005年04月15日 10:21
仰る通り、ジュネ作品はカット繋ぎが非常に細かく、字幕を追うのに一苦労しますね。
特に↑の作品の前半のトレンチ(塹壕)のシークエンスは大変です。
登場人物も一人一人、差別化して認識するのに少々、難儀しますね。

極めて個性的な顔のドニ・ラヴァンでさえ、区別に困るくらいでしたから。
ジュネ氏はゴジラ系の顔が好みなのでしょうか。
タラララ(管理人)
2005年04月15日 17:49
おっしゃるように前半の塹壕シーンは大変でしたね。
Junさんも同じと聞いて、ちょっと安心しました (^^;;
バックに塹壕を映しておいてから、手前にランタン(ですよね?)を映して、そこに兵士が登場する…というオープニングのカメラワークなんかは完全に自分好みなんですけど。
まあ、DVDでもう一度じっくりと見直してみたいです。
Jun
2005年04月15日 22:44
特定のシーンは残念ながら思い出せないのですが、特に前半の戦場シークエンスに於けるディゾルヴを含めた、ショット1つ1つの構図の念の入り様が素晴らしく、それらのショットだけでも見直してみる価値は大いにありますね。
1回だけの鑑賞ですと見逃してしまっている監督の些細な意図、仕掛けが少なくない作品です。
彼程に一つ一つのショットの構図に気を配る監督は、現在のハリウッドには一人も存在しないといってもよいかもしれません。
タラララ(管理人)
2005年04月16日 14:13
おっしゃる通りですねぇ。
特に前半は人物を認識するのと、設定を頭にインプットすることで、自分は汲々としてましたから…。
まだまだ気づいていない伏線や意図があると思います。
多分、年内にはDVDが発売されると思うので、それを待ちたいです。