chapter2653:人魚伝説(1984)

画像人魚伝説(1984)
監督:池田敏春
出演:白都真理、江藤潤、清水健太郎


佐伯啓介(江藤)は海女のみぎわ(白都)と結婚したばかりの漁師。
彼は親友・祥平(清水)の父親で建設会社の社長・宮本輝正(青木義朗)が推進するリゾート化計画に反対していました。
ある夜、漁に出ていた啓介は釣り人の乗ったボートが爆破炎上する現場を目撃。
警察や漁協に訴え出ますが痕跡が残っておらず、寝ぼけたのではないかと笑われます。
意地になった啓介はみぎわを連れて船を出すと現場近くへ。
海女の彼女が潜れば何か発見できるのではないかと考えたのです。
ところが、みぎわが潜っている間に船上で啓介は殺され、彼女も水中銃で狙われて負傷。
命からがら岸へたどり着いたみぎわは自分が啓介殺しの容疑者として手配されているのを知るのですが…。

故・池田敏春らの設立した映画製作会社ディレクターズ・カンパニーがATGと提携した第1回作品。
ちなみに池田監督が入水自殺したのは本作のロケ現場だったそうです。

「湯殿山麓呪い村」など多くの話題作、問題作がある池田監督作品の中で最もカルト人気が高いのが本作でしょう。
以前から見たいと思っていた作品ですが、DVDは廃盤でプレミア価格になっており手が出ません。
去年の11月にブルーレイとDVDで再発売されていると知り、今回ようやく観賞することが出来ました。

夫殺しの濡れ衣を着せられた主人公の海女が真相を探りながら復讐する…というストーリーです。
ただし、突っ込みどころが多く捻りのない展開は二流のサスペンスそのもの。
中途半端に原発問題を取り入れてポリティカル・サスペンス風にしているのも、その感を強くさせます (^^;;

それでも自分の評価は★★★★のお薦め。
池田監督の徹底した演出が素晴らしく、特にクライマックスは圧巻です。
最初こそ『これはやり過ぎちゃうの…』と思いながら見ていましたが、止むことなく執拗に続くバイオレンス・シーンはタランティーノ監督も真っ青。
ここまで突き抜けた邦画は少ないので、お見事としか言いようがありません。
仄かに香る“日活ロマンポルノ臭”もいいですね。

当時は清純派のイメージだった白都真理の文字通り体を張った熱演が光る作品。
どちらかと言えば演技が上手い方ではない彼女だからこそ、主人公の情念や怨念が表現できている気がします。
スプラッター映画のようなシーンも多く、見る人を選ぶ内容で“カルト”と呼ぶに相応しい1本です。

この記事へのコメント

HOSHIO
2015年04月16日 22:33
演出って、ある意味その監督の「生き様」なんですよね。生き様(引き出し)にないことは表現できないので。で、ストーリーには関心がない監督もいるんですよね。それは作家性と言えば作家性ですが、「映画」となるとちょっと困ることもあります。現役だと三池さんはそっち系ですね。

しかし「湯殿山麓」なんかで池田作品がメジャー作品のように扱われたのは(テレビでCMやってましたからね)プロデュースの力でしょう。売るヤツは靴の底だって売ることができるんです。いや、池田作品が「靴の底」というわけではありませんが。
タラララ
2015年04月17日 11:49
インディーズでは良い映画を撮るのにメジャーに行くと詰まらなくなる…という監督はいますよね。
そういう監督の方が個人的には好みだったりしますが、池田監督もそっちのタイプな気がします。
まあ、金を注ぎ込んだ大作になると同じ映画でも別物になるんでしょうけど。
「人魚伝説」は好き勝手に撮ったという感じがでていて、一番好きな池田作品になりました。