chapter2615:猟奇島

画像猟奇島(1932)
THE MOST DANGEROUS GAME
監督:アーネスト・B・シュードサック、アーヴィング・ピシェル
出演:ジョエル・マクリー、フェイ・レイ、ロバート・アームストロング


世界的に有名なハンター、レインズフォード(マクリー)は友人ビル(ヘイル・ハミルトン)の船で南方を旅行していました。
マレーシアを離れて数週間後、船長(ウィリアム・B・デヴィッドソン)が航行中の海域の浮標が海図とずれていることを報告に来ます。
浅瀬が多いので迂回するよう船長は進言しますが、日にちのロスを惜しんだビルが直進を指示したため、船は座礁し沈没してしまうのでした。
数名が助かりますがサメの襲撃を受け、レインズフォードだけが近くの孤島へ泳ぎ着きます。
やがてジャングルの中を進んだレインズフォードはロシア人ザロフ伯爵(レスリー・バンクス)の古城に到着。
事情を説明したところ、伯爵はゲストとしてもてなしてくれることになります。
既に城には別の船で遭難したマーティン(アームストロング)とイヴ(レイ)の兄妹も滞在していたからです。
料理と酒を振る舞われて一息ついたレインズフォードですが、イヴから様子がおかしいことを打ち明けられます。
本土との連絡に使うモーターボートは故障中のはずなのに、彼女は昨夜ボートの音を聞いていました。
しかも、兄妹と一緒に助かった他の2人の姿が見えなくなったと言うのですが…。

リチャード・コネルの短編小説をデヴィッド・O・セルズニックのプロデュースで映画化したサスペンス。
この原作はその後に「恐怖の島」「太陽に向って走れ」「新・猟奇島」と3度も映画化されているようです。
海図と違った位置に浮標を置いて船を遭難させ、生き残った人たちを城主が狩っていた…というストーリーで、“人間狩り”映画の原点として知られる作品です。

もっとも、本作はあの名作「キングコング」の副産物として生まれたのだとか。
大作だった「キングコング」の資金を少しでも回収しようとセットを流用しているそうで、言われてみればジャングルの風景は「キングコング」で見たことがあるような気がします。
アーネスト・B・シュードサック監督、フェイ・レイ、ロバート・アームストロングとスタッフやキャストが被っているのも、そういう事情からでしょう。
まるでロジャー・コーマンのようなことを大プロデューサーのセルズニックもしていたというのは微笑ましいですね (^^;;

さて、映画の内容ですが60分強という短さもあって、テンポよくストーリーが進みます。
前半の船の沈没シーンは迫力がありますし、古城やジャングル、沼地のセットもよく出来ています。
80年以上も前の映画なので凝った編集こそされていませんが、不気味な雰囲気はバッチリで今見ても退屈しないでしょう。

冒頭、有名なハンターである主人公と友人の医師の間で交わされる会話が秀逸です。
『動物が動物を狩るのは野蛮なのに、人間が動物を狩ればスポーツという文化だと言われるのはおかしい』と医師が発言。
適切な反論のできない主人公は『動物だってスポーツと思っているのかも知れない』と口を滑らしてしまいます。
さらに医師から『もし君が狩られる側だったら、どう思うだろう』と突っ込まれると『狩る側と狩られる側が変わることはない。自分はずっと狩る側だ』と断言してしまうのでした。
狩る側から狩られる側になった時、この主人公はどう感じたのでしょうか…。
自分の評価も★★★★のお薦めです。

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