chapter2592:007/消されたライセンス

画像007/消されたライセンス(1989)
LICENCE TO KILL
監督:ジョン・グレン
出演:ティモシー・ダルトン、キャリー・ローウェル、ロバート・ダヴィ


ジェームズ・ボンド(ダルトン)は友人のCIAエージェント、フィリックス・ライター(デヴィッド・ヘディソン)とデラ(プリシラ・バーンズ)の結婚式に出席するためフロリダへ来ていました。
結婚式の直前、南米の麻薬王サンチェス(ダヴィ)が現れたという連絡が麻薬取締局DEAから入ります。
長年彼を追っていたライターはボンドと共にDEAと協力。
サンチェスを逮捕した後、無事に結婚式が行われます。
しかし、サンチェスはDEAの捜査官キリファー(エヴェレット・マッギル)を買収して脱走に成功。
ライターを誘拐してサメに足を食べさせただけでなく、新妻のデラを殺害するのでした。
帰国しようとしていたボンドはライターのためにサンチェスへの報復を決意。
海洋調査会社のミルトン(アンソニー・ザーブ)が脱走に一役買っていたことを突き止めます。
ところが、フロリダまでやって来たM(ロバート・ブラウン)から次の任務に赴くことを命令されます。
これを拒否したため、ボンドは殺しのライセンスを取り上げられてしまうのですが…。

「リビング・デイライツ」の2年後に製作されたシリーズ第16作。
これが2作目となる4代目ボンドのティモシー・ダルトンですが、諸事情で17作目の製作が遅れてしまい今作で降板してしまいます。
ちなみにイアン・フレミングの原作をほぼ使い果たしたため、今作は完全に映画のオリジナル作品になりました。
もっとも、それまでも原作のタイトルを使っていただけでストーリーは別物でしたから、いつも通りと言えるかも知れません (^^;;

この映画はボンドの復讐譚であるため、シリーズでも異色作とされています。
ボンドが個人的な復讐をするストーリーとしては既に「女王陛下の007」がありましたし、後に「慰めの報酬」も作られました。
ただし本作のボンドは上司のMに逆らって、タイトル通りにライセンスを取り消されてしまうところが異例中の異例。
しかも元エージェントという設定を上手くストーリーに絡めているのがミソでしょう。

また、これまでは添え物的な役割しかなかったボンド・ガールが活躍しだすのも本作から。
2人のボンド・ガールのうち、タリサ・ソトは従来通りのキャラクターですが、キャリー・ローウェルはボンドのパートナーとして見せ場もタップリ。
これ以降のボンド・ガールは時にボンド以上の活躍を見せるようになります。

デスモンド・リュウェリン演じるQの活躍もシリーズとしては異色でしょう。
古くからのレギュラーの1人ですが、ここまで出番が多いのは初めて。
シリアスになりがちな復讐譚にあって、コメディリリーフとして良い緩衝材になっています。

歴代作ほとんどのタイトル・デザインを手掛けてきたモーリス・ビンダーが数年後に亡くなったので、本作は彼のシリーズ最後の作品となりました。
ただ、過去の作品の焼き直しのようなアイデアが多く、出来としてはイマイチなのは残念です。
そのタイトル・デザイン前のアバンタイトル部分が直接本編に繋がっているのもシリーズとしては珍しいはずです。

自分の評価は★★★★のお薦め。
これがシリーズ5本目となるジョン・グレン監督ですが、彼らしい派手なアクション演出が冴え渡った作品になりました。
特にクライマックスのチェイスではタンクローリーの片輪走行やウィリー走行など、驚くようなスタント・シーンが次々と登場します。
それらが単なる“見せ場のために無理に作った見せ場”ではなく、ちゃんと流れに沿っているのも見事。
興行成績は芳しくなかったようですが、ジョン・グレン監督としてのシリーズ・ベスト作だと思います。

○本日のオマケ
グラディス・ナイトが歌ったオープニング・テーマ曲の「Licence To Kill」です。
こちらはエンディングで流れたパティ・ラベルの「If You Asked Me To」で、後にセリーヌ・ディオンがカバーしてヒットさせました。

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