chapter2578:さよならミス・ワイコフ

画像元クルセイダーズのトロンボーン奏者、ウェイン・ヘンダーソンの訃報です。

ヘンダーソン作曲で名盤「サザン・コンフォート」のオープニングを飾った「Stomp And Buck Dance」を。
74歳ですか…。
ご冥福をお祈りします。


さよならミス・ワイコフ(1979)
GOOD LUCK, MISS WYCKOFF
監督:マーヴィン・J・チョムスキー
出演:アン・ヘイウッド、ドナルド・プレザンス、ロバート・ヴォーン


1950年代、ワイコフはカンザス州のフリーダム高校でラテン語を教えていました。
差別撤廃を訴えて学校の食堂を黒人生徒も利用できるようにするなど、校長(ダナ・エルカー)からの信頼も厚い教育熱心な教師です。
35歳の独身で恋人がいない彼女にとっての楽しみは、同じ下宿のベス(キャロリン・ジョーンズ)たち同僚の女性教師と休日に開く女子会でした。
ところが何でもないことで急に泣き出したり、情緒不安定になります。
ついに学校も休むようになり、心配した友人たちの勧めでニール医師(ヴォーン)を訪ねることに。
診察の結果は早期の更年期障害ではないかというものでした。
ショックを受けた彼女はニール医師から紹介された精神科医スタイナー(プレザンス)の診察を受けるためにバスでウィチタへ。
まだ処女であることを告白したワイコフはスタイナー医師から男性とつき合うようにアドバイスされます。
こうして定期的にウィチタへ通うようになった彼女は路線バスの運転手エド(アール・ホリマン)から話し掛けられるようになり、彼へ好意を抱き始めるのですが…。

劇作家ウィリアム・インジが書いた同名小説をアン・ヘイウッド主演で映画化。
映画化もされた「ピクニック」や「バス停留所」などが代表作のインジですが、この「さよならミス・ワイコフ」は彼が唯一書いた小説なのだそうです。

本作はハイミスで欲求不満の白人教師が黒人生徒からレイプされるというもの。
センセーショナルな内容なので日本でも公開時に話題になったことを覚えています。
そのため、ずっと「エマニエル夫人」のようなソフト・ポルノかと思っていたのですが、見てみると全然違っていました (^^;;

レイプされたのに相手の肉体的魅力に逆らえず、その後も情事を重ねるというストーリーは確かにスキャンダラスです。
セックス・シーンが何度か出てきて、それが見せ場になっていることも間違いありません。
しかし、鑑賞後は70年代に流行った“女性の自立を描いた映画”の1本という印象を持ちました。

保守的なアメリカ中西部ということや、公民権運動が盛り上がって赤狩りがあった50年代という時代背景が活きている作品です。
もしこれが70年代のニューヨークが舞台ならば成立しにくい内容でしょう。
主人公が「欲望という名の電車」を映画館で見ていたり、あちこちに張られた伏線やメタファもお見事です。

自分の評価は★★★★のお薦め。
レイプを正当化するような男性目線が気にならないではありませんが、かなり真面目に作られた作品。
アン・ヘイウッドの熱演もあって味わい深い秀作に仕上がっています。

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