chapter2566:リストランテの夜

画像リストランテの夜(1996)
BIG NIGHT
監督:スタンリー・トゥッチ、キャンベル・スコット
出演:スタンリー・トゥッチ、トニー・シャルーブ、イアン・ホルム


1950年代、イタリアから移民してきたプリモ(シャルーブ)とセコンド(トゥッチ)の兄弟はニュージャージーの田舎町にレストラン“パラダイス”を開きます。
兄のプリモが料理をして、弟のセコンドが給仕する本格的なイタリア料理を出す店。
他にはクリスティアーノ(マーク・アンソニー)というボーイの若者がいるだけの小さなレストランです。
プリモは料理人としての腕は確かですが、アメリカ人向けに味付けを変えようとしない頑固者。
そのため店に閑古鳥が鳴くありさまで、セコンドは資金の遣り繰りに腐心する日々が続きます。
この日、銀行に新たな融資を断られたセコンドは意を決して近くのイタリア・レストラン“パスカルズ”を訪れることに。
ライバル関係にあるレストランに入ってみると金曜日の夜ということもあり、パラダイスと違って大繁盛していました。
オーナーのパスカル(ホルム)と会ったセコンドは借金を頼みますが、あっさりと断られてしまいます。
しかし、代わりにパスカルは助け船を出してくれます。
来週、町にやって来るルイ・プリマと懇意にしているので、彼にパラダイスで食事するよう頼んでみると言うのです。
人気歌手のプリマが来店すれば大きな宣伝になることは間違いありません。
喜んだセコンドは資金をほぼ全額注ぎ込んで、その夜を友人たちも招待した大きなパーティにしようと準備するのですが…。

俳優のスタンリー・トゥッチとキャンベル・スコットが共同監督した作品。
そのトゥッチとスコットの他、トニー・シャルーブ、イアン・ホルム、ミニー・ドライヴァー、イザベラ・ロッセリーニと渋い出演者が揃っています。
ちなみに劇場公開された時の邦題は「シェフとギャルソン、リストランテの夜」でしたが、DVD化の際に「リストランテの夜」と改題されました。

俳優2人の共同監督作というのは珍しいケースですが、どうやらどちらもこれが初監督作になるようです。
アベル・フェラーラ監督と多く組んでいるケン・ケルシュのカメラに助けられている面もありますが、とても初メガホンとは思えない演出には驚かされます。
例えば、料理の味見を頼まれた弟が『丁度いい塩味だ』と返事をしたのに兄が塩を足す冒頭シーン。
この僅か数秒のやり取りで、上手く兄弟の関係と性格を印象づけています。

デスクスタンドがイアン・ホルムの顔を隠しているカットを堂々と使っているのも面白いですね。
こういう小道具で役者の顔が隠れるようなカットは普通ならNGでしょうが、あえて使うことで人物の説明をしています。
もちろん、ホルムが演じるライバル・レストランのオーナーは“良い人”ではありません。
他にもミートボール・スパゲティを注文する客に兄が『そんな料理は作れない』と拒否するシーンなど、ユーモアを交えながら巧みに状況や登場人物の性格を表現する演出には感心させられます。

シーンによって手持ちやクレーンなどを使い分けている、よく動くカメラも個人的にはお気に入り。
かと思うと、約5分間の長回しでラストを締めたりで、ちゃんと“見せる映画”になっているのは見事です。

自分の評価は★★★★のお薦め。
アメリカで一旗揚げようとするイタリア移民の兄弟と彼らに関わる人々を描いた秀作ドラマ。
人生の厳しさ、苦さを描いているのに見終えた時にはちょっぴりハート・ウォーミングな気分になれる作品です。
当然ですが美味しそうな料理がいっぱい登場するので、空腹時の鑑賞はお薦めしません (^^;;

○本日のオマケ
劇中で流れるルイ・プリマの「Five Months, Two Weeks, Two Days」です。

この記事へのコメント

かわうそ
2014年03月17日 21:07
大好きな作品です。

仰る通り、シーンによってカメラや編集の使い分けが素晴らしいですし、ラストの長回しが醸し出す余韻は初見から20年近く経てもなお印象的です。
本当に「いい塩梅」の映画でした。

タラララ
2014年03月17日 23:00
ラストの長回しは秀逸ですね。
深い余韻を残して、これぞ映画という感じがします。
自分もこの映画大好きです (^^)