chapter2568:巴里の空の下セーヌは流れる

画像浅田次郎の「壬生義士伝」を読了。
紙の本だと900ページを越える上下巻の大作です。

主人公は鳥羽伏見の戦いで亡くなった新選組の隊士、吉村貫一郎。
大正時代に1人の物書きが彼を知る人物を訪ね歩いて聞き取った話をまとめたという形式で、さらに各エピソードの間に吉村本人のモノローグが挿入されるという凝った作りになっています。

これが2冊目の浅田作品ですが、やはり“感動させるツボ”が分かってるという感想です。
読み進めるうちに主人公の虚像と実像が浮かび上がってきて読み応えは充分。
後半になるに従い、同じような内容の繰り返しと感じる箇所も増えますが、これだけの大作を飽きさせずに読ませる力量は凄いと思います。
どうやら自分も浅田ファンになったかも知れません (^^;;
評価:★★★★

滝田洋二郎監督、中井貴一主演で映画化されているようなので近日中に鑑賞してみるつもりです。


画像巴里の空の下セーヌは流れる(1951)
SOUS LE CIEL DE PARIS COULE LA SEINE
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
出演:ブリジット・オーベール、ジャン・ブロシャール、ルネ・ブランカール


第二次大戦終戦直後のある日のパリ。
老女ペリエ(シルヴィー)は部屋で多くの猫を飼っていました。
しかし、年金生活者の彼女には猫のミルク代すらままになりません。
自分の空腹は二の次にして、何とかミルク代を工面しようと早朝から町へ出掛けます。

エルムノー(ブロシャール)は仲間と一緒にストライキ中の工場へ泊まり込んでいました。
この日は子供たちが銀婚式のパーティを開いて祝ってくれる予定です。
ところがスト解決の目途が立たず、様子を見に来た息子にパーティの中止を申し渡します。

朝の列車で南フランスのホテルで働いている若い娘ドゥニーズ(オーベール)がパリ駅へ到着します。
熱烈なラブレターをくれるマキシミリアン(ロベール・ファヴァール)と会うのがパリへ来た目的です。
ひとまずパリ滞在中に居候させてもらうモデルの友人マリー・テレーズ(クリスチアーヌ・レニエ)のアパートを訪ねます。

そのマリー・テレーズは恋人ジョルジュ(ダニエル・イヴェルネル)のことが気になって落ち着きません。
今日、仮インターンのジョルジュにとって大事な試験があったのです。
3度目の受験となる彼には今回が大学病院の医師になる最後のチャンスでした。

彫刻家のマチアス(レイモン・エルマンティエ)は集中できず、雇ったモデルを帰して制作を中止します。
実は彼は女性ばかりを狙う連続殺人犯。
今朝も3人目の犠牲者の死体がセーヌ川に上がったばかりです。
自分でも分からない衝動に駆られたマチアスはパリの町を彷徨うのですが…。

終戦後にアメリカからフランスへ戻っていたジュリアン・デュヴィヴィエ監督が“パリ2000年祭”に合わせて撮った作品です。
パリに集った老若男女の1日を描いた内容で、まさしく主役はパリ。
パリの名所を巡る観光映画としても楽しめます。

自分の評価は★★★★のお薦め。
老婆から小学生の女の子まで多彩な人物が登場しますが、1人だけシリアル・キラーがいるのがミソですね (^^;;
シーンによってコメディ調だったり、サスペンス風だったり、色んな要素が混ざっていて最後まで退屈しません。
接点のなさそうな登場人物たちがどこでどう交差するのかも、容易に想像できるようなものではなく一捻りしてありました。
全員がハッピーエンドで終わらないのもフランス映画らしいところです。

○本日のオマケ
公開当時日本でもヒットした「Sous le ciel de Paris」をジャン・ブルトニエールが歌う劇中シーンを。
この挿入歌「パリの空の下」は後にエディット・ピアフ、ジュリエット・グレコ、イヴ・モンタン、ミレイユ・マチューらも歌ってシャンソンのスタンダードになりました。

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