chapter2494:第四の核

画像ルー・リードの訃報です。

ウォーホルのジャケットで有名なヴェルヴェット・アンダーグラウンドのデビュー・アルバムはロック史に残る名盤でしょう。
ソロになってからの「トランスフォーマー」も愛聴盤でした。
これも名曲の多いアルバムですが、個人的に最も好きな「Vicious」を。
ご冥福をお祈りします。


第四の核(1987)
THE FOURTH PROTOCOL
監督:ジョン・マッケンジー
出演:マイケル・ケイン、ピアース・ブロスナン、ネッド・ビーティ


大晦日の夜、イギリス保安局MI5のエージェント、プレストン(ケイン)は政府高官ベレンソン(アントン・ロジャース)のアパートに侵入。
隠し金庫内にNATOの極秘文書のコピーを見つけて盗み出します。
ベレンソンが東側のスパイだったことが判明し、保安局では緊急会議が開かれることに。
この席上、プレストンはスミス局長代理(ジュリアン・グローヴァー)から独断で行動したことを責められますが、保安局長官のアーヴィン卿(イアン・リチャードソン)は対策を講じることが最優先と判断。
正月休みで田舎へ帰っているベレンソンをすぐ逮捕せず、泳がすべきというプレストンの作戦を了承します。
休み明けにロンドンのアパートへ戻ったベレンソンは隠し金庫が破られているのを見て驚愕。
彼が連絡を取ったのは意外にも南アフリカ大使館の人物でした。
調査の結果、南アフリカ大使館にソ連の二重スパイがいたことが分かり、ベレンソンはスパイ容疑で逮捕されます。
こうしてベレンソン事件は片がつきますが、スミス局長代理にスタンドプレイを睨まれたプレストンは空港港湾部門に左遷されてしまいます。
同じ頃、コボルシンKGB議長(アラン・ノース)直々の命令を受けた非合法活動局のエース、ペトロフスキー少佐(ブロスナン)がイギリスへ入国。
ジェームズ・ロスと名乗って駐英アメリカ空軍基地の近くに家を借りるのですが…。

フレデリック・フォーサイスの同名小説を映画化したイギリス映画。
当時フォーサイスの小説はベストセラーとなり次々と映画化されていましたが、出来はともかく興行的にはどれもパッとしませんでした。
そのため今作はフォーサイス自身が脚本を書いただけでなく、プロデュースも兼ねるという力の入れよう。
ちなみに主演のマイケル・ケインもプロデューサーに名を連ねています。

ただし、ピアース・ブロスナンが007シリーズに出演する前の作品です。
まだ彼の知名度が低かった頃ですし、マイケル・ケイン以外にスターが出演していません。
日本では劇場公開されなかったように、結局は本作も興行的に失敗したようです。

もっとも興行成績と内容が比例しないのは映画の常です。
あまり期待していなかったこともありますが、かなり面白い作品に仕上がっていました。

まず、ストーリーが分かりやすいことです。
007のように荒唐無稽でない、この手のシリアスなスパイ映画はとかく設定が複雑になりがちです。
出番が少ないのにそれなりに重要な登場人物も多く、どうしてもストーリーが分かりにくくなってしまいます。

しかし、本作はフォーサイス自身が脚本を書いただけあって上手くまとめられていました。
当時、アパルトヘイトで南アフリカ共和国が世界的に孤立していたことをストーリーに盛り込んでいたりするのもフォーサイスらしいところでしょう。

次にマイケル・ケインとピアース・ブロスナンの好演が上げられます。
主人公のプレストンは命令違反も厭わない、結果で判断してくれというタイプ。
ソリの合わない上司の命令に皮肉で返したりする一匹狼的な役はケインの得意とするところでしょう。

対するブロスナンはまだ30代の前半と若く、冷静なソ連のスパイという感じを上手く出せています。
極秘任務の遂行中なので女性からの誘惑も断らざるを得ず、悔しがるシーンが出てきますが、後に彼がボンドになったことを思うと面白いですね (^^;;

自分の評価は★★★★のお薦め。
ケインが見えない敵のブロスナンを少しずつ追い詰めるという、同じフォーサイス原作の「ジャッカルの日」を思わせる展開はスリリングです。
ジョン・マッケンジー監督の手堅い演出とラロ・シフリンの効果的な音楽もバッチリで、この出来でなぜ劇場公開されなかったのか不思議なほど。
派手さのない地味な作品ですが、シリアスなスパイ映画の秀作です。

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