chapter713:どろろ

画像今年初の劇場鑑賞です (^^;;
スコセッシ監督の「ディパーテッド」とどちらを見ようか迷ったのですが、待ち時間が短いという理由で「どろろ」を選択しました。


どろろ(2007)
監督:塩田明彦
出演:妻夫木聡、柴咲コウ、中井貴一


日本の室町時代末期のような戦乱の世が続く、アジアの某国が舞台。
武将・醍醐景光(中井)は、48体の魔物を封印してあるという“地獄堂”で魔物たちとある契約を交わします。
産まれてくる自分の子供の好きな場所を与える代わりに天下を統一させて欲しい…というものでした。
数日後、妻・百合(原田美枝子)が産んだ子供は、両手両足に目・鼻・口・耳や内臓まで欠けた、おぞましい姿でした。
それから20年後、ある町でスリをした盗賊・どろろ(柴咲)は追い掛けられ、酒場に逃げ込みます。
酒場では二の腕から先が刀になった若い男・百鬼丸(妻夫木)が、1匹の魔物を退治したところでした。
百鬼丸を知っている琵琶法師(中村嘉葎雄)から、彼の生い立ちを聞いたどろろは彼に関心を持ち、付きまとうことになるのですが…。

原作は手塚治虫の同名マンガで、昭和40年代にテレビでアニメ化もされました。
この原作、手塚作品のベスト10を選べば必ず入れるであろう、個人的に大好きなマンガです。
白黒のテレビ・アニメは長らく見ていませんが、上手く原作の雰囲気を出していたように記憶しています。

まず、手塚治虫の「どろろ」の映画化として見ると評価は★1つの“とんでもない”作品です。
妻夫木聡の百鬼丸もミス・キャストだと思いますが、どろろの柴咲コウは話になりません。
原作ストーリーの“うわべ”を拝借しただけで、原作の本質を解っていない、中身のないペラペラな映画です。
テレビ・スポットを見て、いや~な予感がしたのですが、それが的中してしまいました (+_+)

個人的には、『映画と原作は別物。原作と違っていても映画として面白ければOK』と考えていますので、以下は伝奇アクション映画として見ての感想です。
映画は、「何とか歴の3千何年」という架空の国の架空の時代設定になっています。
衣装や町の風景は、基本的に室町末期に似た雰囲気ですが、中国風やアラビア風の衣装が登場したり、戦国時代の南蛮風の部屋があったりで、“アジア風無国籍”という感じでしょうか。
これで、“ごった煮”的な感じや、ドギツさが出ていれば面白いのですが、残念ながらセンスが感じられません。
醍醐景光の居城や魔物のデザインもそうですが、美術全般のセンスのなさは酷いですね。
魔物のCGも完全に浮きまくっていますし、着ぐるみの魔物が登場した時には苦笑してしまいました。

話題になったニュージーランド・ロケにしても、ほとんどがマカロニ・ウエスタンにでも出てきそうな荒野で、「ロード・オブ・ザ・リング」のような風景を想像すると完全に裏切られます。
製作上のメリットはあったのでしょうが、ニュージーランドでロケをしたことによる演出上のメリットは特に感じられませんでした。

自分の評価は★★の駄作。
百鬼丸やどろろの生い立ちは良いとしても、セリフで表現する部分が多すぎます。
ギャグも不発ですし、取って付けたような感動の押し売りシーンも目障りです。
カメラや映像も含めて、とにかく映画的センスが欠落している作品だと感じました。
原作とは違いますが、妻夫木聡の百鬼丸はそれなりに雰囲気が出ていましたし、中井貴一との殺陣シーンも悪くなかったので、★★評価にしておきます。

繰り返しますが、原作の映画化としてなら★1つの最低評価(本当は無印にしたいくらい)です。
だいたい、架空の時代に設定を変更したことだけでも、原作の良さ、面白さが減ってしまうことはファンならお解りでしょう。
「ほげほげたらたら~」と侍をコケ降ろしたアニメの主題歌は、原作の精神を端的に表現した名曲だとあらためて感じました。
原作でベルリンの壁や板門店を例えた“ばんもん”を単なる国境の目印としてしか使っていない映画ですから、原作を好きな人が作った映画でないことは明らかです。
原作の「どろろ」やアニメに思い入れがある人ほど、見ればガッカリすると思いますので、原作ファンはご覧にならないことをお薦めします (^^;;

この記事へのコメント

HOSHIO
2007年02月13日 23:15
相変わらず「特攻」しますね。(^^;)
僕はもうこの手の邦画は絶対見ません。いわゆる「小品」やアニメには侮れないものがありますからストーリーや世界観には邦画ならではの弱点はないと思います。何か制作システムに決定的な間違いがあるのではないでしょうか。プロデューサーに人材がいないとか。あるいはやっぱりおカネなんですかね。あと制作者の「こだわり」のようなものでしょうか。

一緒にペルーに行ったスチールカメラマン(女性)がニュージーランドロケにスチルとして参加していましたがスタッフも役者も「頑張ってた」とのことでした。アクションは香港の監督さんらしいですね。
タラララ(管理人)
2007年02月13日 23:37
え~、今回の特攻もあえなく玉砕しました (T_T)
最近はアニメはほとんど見ないので解りませんが、おっしゃるように、小品では邦画も頑張ってますよね。
お金の掛け方が解っていないのでしょうか…。
本当に残念でなりません。

>アクションは香港の監督さんらしい
あ、なるほど。
言われてみると納得です。
しゅー
2007年02月14日 18:02
>「どろろ」を選択しました。
日本映画としては破格の20億円をかけて製作された作品のようですね~
でも,周りを見渡すと他に観たい映画が結構あるのでパスしました.
パスして正解のようですねっ!

塩田明彦監督は「黄泉がえり」では評判良かったようですが(未見),大作は荷が重すぎたのでしょうか・・・(・・?)
タラララ(管理人)
2007年02月14日 18:57
はい、パスされて正解だと思います (^^;;
「黄泉がえり」は未見ですが、評判は良かったようですね。
こういう伝奇タイプの映画には向いていないのかも知れません。
C-BLACK
2007年02月14日 23:02
私も「どろろ」原作のファンなので、最初からパスしてます。
手塚さんが妖怪ブームの頃発表した作品で、生みの苦しみがにじみ出ているようなところもあって、あとで読み返すたび惹かれますね。
子供の頃、「どろろ」っていうネーミングにまずインパクトを感じました。
私、バンパイヤも好きなんですけど、あれも映画化は難しいと思います。ロックのあの悪の魅力を出せるキャスティングが・・・。昔のTV実写+アニメ版(水谷豊主演)も懐かしいけどロック役はほとんど記憶にない。
やはりマンガの表現のままの方がイマジネーションがふくらみます。
「ディパーテッド」のリメイクぶりは結構興味があるので見ようとおもっていますが。
タラララ(管理人)
2007年02月15日 09:51
原作好きはパスが正解ですね (^^;;
手塚治虫は新しいマンガが話題になると「それくらいなら俺も書けるぞ」と新連載を始めることが多くて、この「どろろ」も水木しげるへの対抗心が切っ掛けでしょう。
「バンパイヤ」の映画化は難しいでしょうね。
あの世界観は2時間程度で表現できるものではないと思います。
テレビの実写版、確かに水谷豊のトッペイは記憶にありますが、ロックは誰が演じていたのかも覚えていません (^^;;
「ディパーテッド」は自分も近いうちに見に行く予定です。
出来れば今年はスコセッシにオスカーを獲らせてやりたいです (^^)
みのり
2007年12月17日 01:09
タラララさんの記事を読ませていただくと、私は原作を知らないから楽しめたのでしょうね。 でもテレビで観たからそこそこ楽しめたものの、映画館だとダメだったかも…。 画面の大きさって作品を左右しそうですね。 面白い記事なのでリンクさせてください。
タラララ(管理人)
2007年12月17日 13:14
大きなスクリーンと家庭のテレビでは違いますよね。
劇場で見たアラが目立たなくなることもあると思います。
年に数回しか劇場へは行きませんが、やはり映画は劇場で見るものだと思っています。
この映画も家庭で見ると少しはマシに思えるかも知れません。
そのうちレンタルでもしてみましょうかね (^^;;
リンク、よろしくお願いします。