chapter698:ローズ・イン・タイドランド

画像不二家の不祥事に続いて、「発掘!あるある大事典」の番組内容捏造も次々と発覚しそうです。
http://www.mainichi-msn.co.jp/entertainment/tv/netsuzou/news/20070128k0000m040116000c.html

さもありなん、という感想ですが、驚いたのは記事の最後の部分です。
『長村教授によると、一方で「良心的なテレビマンもいた」という。「あるある」の放送後、同じ趣旨で取材をしてきた他局の番組のディレクターは、長村教授の実験内容を聞いて、放送予定日の直前、企画の中止を決めたという。』
これって、別に“良心的”じゃなくて、ごく“当たり前”のことではないのでしょうか (・_・?)


ローズ・イン・タイドランド(2005)
TIDELAND
監督:テリー・ギリアム
出演:ジョデル・フェルランド、ジャネット・マクティア、ブレンダン・フレッチャー


元ロック・スターの父親(ジェフ・ブリッジス)と母親(ジェニファー・ティリー)と暮らすローズ(フェルランド)の日課は、父親が麻薬を打つ手伝いと母親のマッサージ。
学校に行かない彼女は友達もなく、話し相手は頭部だけのバービー人形でした。
ある日、麻薬のオーバードープ(過剰摂取)で母親が死んでしまいます。
これはまずいと思った父親はローズを連れて逃げるように家を出ました。
彼らが向かったのは、父親の実家でもあるローズのお祖母さんの家。
お祖母さんが亡くなってから、かなりの年月が経っていたので家は荒れ放題でしたが、2人はそこに落ち着くことにします。
その日も父親はいつものように麻薬を打ち、トリップしたまま死亡してしまうのですが…。

前作の「ブラザーズ・グリム」はギリアムが、いわゆる“商業映画”を目指した(?)作品だったように思いますが、この映画は対極に位置するような作品です。
色んな意味で、『よくこれが一般公開されたなぁ…』と感心してしまいます。
HOSHIOさんのブログでは「測定不能」という評価になっていた作品ですが、自分の評価は★★★★★の傑作!
『こいつ、また変な映画を褒めて…』と思われそうですが (^^;;

タイトルになっている“タイドランド”というのは“干潟”のことです。
HOSHIOさんのブログからの引用になりますが、『小説では主人公ローズの空想の世界を「タイドランド」と言っているようです』。
劇中では、麻薬を打つ前の父親のセリフに“タイドランド”が一度だけ登場します。
『過ぎし時の遺物、孤独な記念碑、もの悲しい幻の“タイドランド”』というセリフで、これが父親の最後の言葉になりました。
その直前の父親のセリフは、『夢と希望の残骸が埋まる浜辺』です。
いずれもDVDの日本語字幕から引用しましたが、これは父親のトリップ先のイメージを言葉で表現したもののようです。
ローズが住む世界は普通とは違った特殊な世界だ…というような意味でしょうか。

確かに映画が描いている世界は特殊です。
が、主人公のローズに関しては、それほど特別な少女だとは自分には思えませんでした。
ローズがする“人形遊び”のようなことは、誰もが経験しているのではないでしょうか。
子供の頃の自分は良く怪獣で遊んでいました。
その怪獣はソフビの人形や模型だったり、自分で紙に描いたものを切り取ったりしたものです。
これらを使って自分が創造した世界で遊ぶのですが、1人で居る時に男の子なら怪獣、女の子なら人形で遊ぶのは、ごく普通のような気がします。
まして、身近に友達のいないローズなら他に遊びようがありません。
人形が首だけというのも、家庭環境を考えると新しい人形を買い与えてもらえるとは思えませんから、自然なように思います。

また、一般的に子供というのは残酷なものです。
恐らく“死”というものが解っていないからでしょう。
父親の死体に対する彼女の態度も、それほど異常なものではないと思います。

この映画を見ていて思い出したのは、「禁じられた遊び」や「汚れなき悪戯」でした。
ローズが置かれた環境は特殊ですが、彼女自身はごく普通の少女。
彼女は子供なりの無邪気な考えで行動しているだけです。
ただし、それを大人の視点で見てみると、異様な世界で恐怖や狂気に似たものを感じるのでしょう。
自分にはギリアム風に味付けされた、そういうギャップを楽しむ映画のように思いました。

倫理的に『え!? こんな描写していいの』と思うシーンはありますし、普通でない登場人物が多いですが、映画自体はそれほど異常なテーマを扱っている印象は受けませんでした。
ストーリー自体は比較的単純ですし、“難解な映画”というのとも少し違います。
まあ、自分がもっとグロテスクで変な映画を見ているからかも知れませんが…。

しかし、ジェフ・ブリッジス、良い役者ですねぇ。
途中からは死体でしたけど (^^;;

この記事へのコメント

HOSHIO
2007年01月28日 21:31
これはこれは、「傑作!」ですか。ジェフ・ブリッジスはほんと、「ようやるわ」って感じですよね。ジョデルちゃんもすごかったでしょ。もう中身は「女優」らしいですよ。子役のすごいのって(子役に限らずスポーツなんかでも)脳の発達速度がめちゃくちゃ速いんでしょうね。その先があるのか、そこで止まるのかは別にして。

この映画は、僕には生理的不快感が勝ちすぎる描写が多すぎたのが測定不能の理由のひとつですね。おばあちゃんが蹴っ飛ばされて「壊れる」シーンとかは爆笑したんですが。

しかしまあ「健在ぶり」を示したギリアムに一安心ではありました。ラストシーンも好きです。
タラララ(管理人)
2007年01月28日 22:54
いや~、ギリアムは初期のモンティ・パイソンの何本かと「ジャバーウォッキー」「ラスベガスをやっつけろ」以外は見ていますが、マヂで彼の最高作ではないかと。
しかし、もしジョデルちゃんが自分の娘だったら、自分が脚本を読んだ時点で出演はさせないとも思います (^^;;
次回作はどんな映画になるのか楽しみです。
トースケ
2007年01月28日 23:35
この映画、まったく知りませんでした.今appleのサイトで予告編見てみましたが、おもしろそうですね.
ギリアムはブラジルとバロンしか見ていません.いいものを教えてくださってありがとうございました.(特にレス不要です)
タラララ(管理人)
2007年01月29日 12:03
この作品は今までのギリアムとは、ちょっと雰囲気が違いますね。
でも、「未来世紀ブラジル」や「バロン」がOKでしたら大丈夫かと。
一度、ご覧になって下さい。